新型コロナウイルスのspike protein変異体

スパイクタンパクのD614G変異体がヨーロッパで流行の主流になったというプレプリント。確かにデータを見るとこの変異体の割合が急速に高まっているように見える。

https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.04.29.069054v1#disqus_thread

このデータを受けて一部センセーショナルに「ヨーロッパの変異体は感染力が強い、やばい、他の地域も今後気をつけろ」のように報じられているが、統計データにすぎずタンパク質自体の性質は調査されていないようなので、この変異体のほうが感染力が強いかどうかはいまだ示されておらず、ミスリーディングである。しかし、他の地域でも用心するに越したことはない。少なくともこの変異体がドミナントになったのが事実であれば、スパイクタンパクの性質に影響を与えている可能性はある。

より心配なのは、(いま世界各地で開発中のワクチンはほとんどがスパイクタンパクを標的とする抗体を作らせるワクチンなので)、スパイクタンパクの変異がそんな簡単に起こるならワクチン開発が難航するのではないかということである。

 

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