飛行機墜落と航空機保険

航空機の保険といっても、いろいろあります。

保険の対象の違いはわかりやすい(航空機の機体自体の保険と賠償責任保険の違いは、自動車に類似している面もあるので)のですが、リスクカバー範囲の違いという切り口もあります。

具体的な例をあげましょう。

2014年話題になった、失踪マレーシア航空機MH370、撃ち落とされたマレーシア航空機MH17、墜落したとみられるエアアジア航空機QZ8501、はすべて主幹事をAllianzとする複数の保険会社が引き受けていました。ただしここでカバーされていたリスクは、戦争などのwarリスクを除くものです。つまり、通常危険(悪天候とか操作ミスとか機材トラブルとか)のリスクをカバーするものです。QZ8501の場合はこれに該当しそうですので特に問題はないのですが、マレーシア航空の場合、warリスク免責をどう扱うかが問題になります。

MH370,MH17は、warリスクをAtriumが受けていました。撃ち落とされたMH17はAtriumが運営するロイズシンジケート609がカバーすることになりそうですが、原因不明のままのMH370は、結局AllianzとAtriumが50:50で折半したようです。

Allianzが主幹事の航空機が3機墜落しても、

QZ8501は100%通常危険

MH370は50%通常危険、50%戦争危険

MH17は100%戦争危険

というバラバラの結果になっているということですね。

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STAP騒動

STAP騒動について、もはや疑いの余地なく捏造であると断言できる状況にもかかわらずいまだに擁護派がいて驚く。

「能力不足で、悪意なくああいうことをやってしまった」派 vs 「能力はあるが、悪いやつ」派の論争だったのですが、すでにその域ではなくなった。なぜなら、能力がなく、かつ悪意もあるからだ。能力については説明を聞けば明らかであるが、悪意についても、ESのコンタミである(ほかに説明できない)可能性が極めて高く、そうでないにしてもデータ自体に捏造があったことは確定しているので、意図的か否かはもう決着している。意図的である。

また、上位者の監督責任うんぬんという論議は的外れだと思う。ラボのボスは当の女性研究者本人であり、トカゲのしっぽ切りという穿った見方は当てはまらない。本人がトカゲの頭だからだ。会社でいえば社長だ。この点、誤解があると思う。企業の人は、会社ではなく経団連をイメージしてほしい。経団連のメンバー企業の社長が問題を起こしたからといって、経団連の上層部に責任なんてあるわけがない。ラボというのは個々に独立した組織だ。ラボのトップが自ら問題を起こした今回のケースはラボのトップ自身に責任があるのは当然。共同研究者たちは、捏造に関与していない限り何の責任もない(だまされた被害者にすぎない)。

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銀行規制と保険規制の比較

日経に保険会社の国際規制に関する記事が出ていたようなので、一度全体像をまとめてみましょう。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0903E_Z01C13A0MM8000/

二つの異なる枠組みがあり、混同しやすいので銀行と比較してみるとわかりやすいでしょうか。

①巨大金融機関に対する規制

国際的に活動する巨大な金融機関の活動は世界全体に影響を与える可能性があり、経営が傾くとシステミックリスクを引き起こす可能性があるためきちんとみんなで監視しましょう、ということですね。

・銀行はG-SIFIsとして29行が指定され、日本からはメガバンク3つが入っています。

・保険会社はG-SIIsとして9社が指定され、日本の会社は1社も入っていません。

②国際的に活動する金融機関に対する共通した資本規制

・銀行はバーゼルIIIと呼ばれるフレームワークにのっとって国際的な資本規制に従う事が求められます。

日本の銀行は15行が国際基準適用行となっています。メガバンク3つ、農林中金、三井住友信託と大手地銀10行ですね。

・保険会社にも国際的なフレームワークを導入しよう、というのが今回の記事です(Comframeと呼ばれています)。

国際基準適用会社の基準案は、三カ国以上で活動し保険料収入の10%以上が外国から、かつ(総資産500億ドル以上 or 保険料収入100億ドル以上)、というもの。直近の決算データを見ると、日本の会社でこれにあてはまるのは東京海上のみですね。三井住友海上も損保事業のみで見ると海外売り上げが10%前後のようですが、IAISのリリースを見る限り生損保連結で見るはずなので該当しなさそうです。大手生保は対象になりそうなところは見当たりませんでした。日経が「日本の大手生損保が対象になる公算が大きい」と書いている理由は謎です。

(もちろん各国が個別に指定するので、必ずしもIAISの基準案に従うものではないですが、海外売り上げがほとんどない会社に国際基準を適用するとは考えにくいのでは…)

まとめると、

①超巨大金融機関規制

銀行はG-SIFIs、日本からはメガバンクのみ。

保険はG-SIIs、日本からはなし。

②国際的に活動する金融機関への規制

銀行はバーゼルIIIの国際基準適用行、日本からは15行。

保険はコムフレームの国際基準適用社、日本からは東京海上1社。

という事になりそうです。ただし、保険規制はまだ原案にすぎず、実際適用は2019年予定なので今後変わるかもしれません。

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オリンピックに向けた課題

オリンピックに向け、日本のインフラ面での課題は多々あると思いますが、帰国した時に感じた事をメモしておきます。

①イミグレ

成田の入国審査のスキームが脆弱。日本に初めてくる人が多い場合に、現状ではとても捌けないと思います。

1.入国審査場所への入り口の位置が悪い

窓口から見て、並ぶ方向の後方に入り口がないと自分がどこに並ぶかわからないし列の全容も見えないのですが、なぜか列に垂直に、横から入るようになっている。部屋に入ってすぐ日本人の列が並び、外国人は列を無視して奥にずんずん進んでからじゃないと自分の並ぶ位置を発見できない。混乱してる人を何人も見かけました。

2.フォーク型と並列型の混在

日本人窓口は並列型、その他はフォーク型で並ぶという意味不明な方式で、面くらいました。1.がそのデメリットに拍車をかけていて、外国人は日本人が並列に並んでいるのを見た後でフォーク型の長い列に並ぶので(仕切りで誘導されるとはいえ)、これはやめたほうがいい。というか全部フォーク型でええやん。

3.待合面積の不足

物理的に面積が足りず、部屋がほぼ人で埋まっている状態。それでも日本人はなんとか列を維持して秩序を保ちますが、それでも誰がどう並んでるのか混乱しがち、ましてや五輪期間中はどうなるかと思うと…。多くの外国人はイミグレで待つ事自体には慣れているので、待ち時間よりも待ち時間のFairnessのほうがストレスのファクターになります。スペースをとり、綺麗な列を最初から見やすく作れるようにしないと印象はネガティブになると思います。

といったところ。今まで50ヵ国・地域くらいのイミグレを経験してきましたが、成田はわかりやすさという点でははっきり言って相当ひどい部類です。ワーストに近い。

②エアポートwifi

成田では無料wifiが飛んでいるのは素晴らしいです(先進国でも、時間無制限で無料wifiが飛んでる空港はかなり少ないです。1時間無料とか30分無料の所が大半)。しかし、利用登録するために最初に表示されるページが日本語。Englishに飛ぶリンクの位置もわかりづらい。せめて最初に言語選択を入れるか、English切り替えが簡単にわかるようもうちょっと工夫して欲しい。

エアポートwifiは、外国人旅行者にとってその国のインターネット環境を始めて体験する試金石で、その国のネットワークに対する第一印象を決定付けます。ちょっと改善するだけでずいぶん良くなるのになぁ。

③Simカード

英国で買ったSim freeのiPhone4Sに、ドコモのSimを挿して使おうと思ったのですが、ドコモショップで使用方法を教えてくれない(ドコモはiPhoneは5c/5s以降しか正式には対応してないのでサポートできません、カードは挿してあげますが動作設定は自分でインターネット等で調べてください)。。。さすがに驚愕した。しかも店内のwifiで調べようと思ったら、ドコモショップ内で使える無料wifiはない、という更なる驚愕の返答。結局自宅で調べて設定するまでネットワーク使えなかった。日本語のわかる僕でこれなので、海外の人にはmission impossibleですね、、、

ちなみに、イギリスでO2のsimカード買ったときは、海外に初めて住んだ僕でも何も支障なかったですよ(というか当たり前だけどカード挿して電話もネットも使えるようにしてくれた)。日本のサービス水準は何でもかんでも高いわけじゃないです。いやほんとに。

この3つは、みんながよく指摘している無料wifiスポットの数の少なさよりも深刻だと思うなー

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保険のオプション性

長期にわたる保険商品は金利オプション性を内在している。

言い換えれば、金利が変わるとキャッシュフローが変わる。以下、簡単のために、この文章での「金利」というのは主に長期や超長期ゾーンの金利の事だと思って下さい。

契約者配当がある場合は「配当が変化する」と言えば良いのだが、無配当商品でもオプション性を有してる。これは市中金利が変化すると解約率が変化するからである。

単純化のために無配当商品で説明しよう。

長期の保険商品というのは、保険部分と貯蓄部分とに概念的には区分できる。貯蓄部分は債券に似ていて、保険会社が一定の利率での運用を約束しており、契約者はその利率を享受する権利を持つ。ただし、債券と異なり、契約者は予め定められた解約返戻金で契約を解約する事が可能である。(債券は市中金利の変動によって値段が変わってしまうが、保険の解約返戻金は(特殊な商品を除いて)、契約時点で約定された値段のまま変化しない)。

契約時点で約束された利率(予定利率)より市中金利がはるかに高くなると、契約者に「保険契約を解約して、新しい(利率の高い)保険に入りなおす、あるいは他の金融商品を買う」というインセンティブが生まれ、解約率は原理的には上がるはずだ。

一方、契約時点の予定利率より市中金利がはるかに小さくなると、契約者は解約しないほうがいいことになる(いわゆる「高予定利率時代のお宝契約」とか言われたりする)。

金利が上がると解約され、金利が下がると解約が減る。どちらも保険会社にとって不利な行動特性である(考えてみれば、契約者が自分の得になるように合理的に行動する人がある程度いると仮定しているのだから当然ともいえる)。

これをこの文章では「動的解約」(Dynamic Lapseの和訳)と書く事にする。

この動的解約を保険負債計算に織り込んだ情報を公表している会社の例を見てみよう。情報が豊富なのでドイツの大手保険会社Allianzの2011年MCEVレポートを見てみる。

https://www.allianz.com/v_1339500297000/media/investor_relations/en/results_reports/annual_report/ar2011/evr2011.pdfAX

すると、金利変化に対するMCEV(保有契約の会社にとっての将来キャッシュフローを時価評価したもの+会社の純資産、だと思って下さい)の感応度は、

金利0.5%↑…+22.4億ユーロ

金利0.5%↓…-29.8億ユーロ

金利1%↑…+39.7億ユーロ

金利1%↓…-73.8億ユーロ

AllianzMCEV

とりあえず非対称であり、かなり湾曲している事はおわかりいただけると思う。二次微分成分をガンマと呼ぶjargonがあるので、ガンマが大きいとか強いとか言ったりする(しますよね?)。

Allianz個別に言及すると多少例外的な保険があったはずなので、一般論としてこのグラフの読み方を雑に言うと

・金利の0.5%程度の上下動では保険キャッシュフローはあまり変わらない(時価の変化が直線的なので単に割引率の変化のみが時価変化に反映されている)。

・金利が1%低下すると解約が低下し、より大きなロスがでる(直感的にはヘッジされていないキャッシュフローが発生するイメージ)

・金利が1%上昇すると解約がちょっと増えて(直感的には保険キャッシュフローに対して債券を買いすぎちゃったね、という事になってその余計な債券が金利上昇の時価でやられてるイメージ)リニアな増減よりちょっと減ってる。

みたいになるわけです。

フランスの大手保険会社AXAの2011年度EEVレポートを見ても、

http://www.axa.com/lib/axa/uploads/ra/2011/AXA_EEV_2011.pdf

この湾曲は観察されますね。こういった欧州系がそれなりにちゃんと動的解約を見込んでいることとか、その度合いがどの程度かとかが漠然と推測がつくわけです。

で、日本の場合。

そもそも金利低下時に解約が減るの?という根本的なところがまだよく観測されていないのが実情で、

大手生保から、「日本の金利低下局面は主にバブル崩壊→金融危機という流れの時期であったため、景気の悪化や信用不安からむしろ解約率が増加した」という(いわば逆向きの)観測結果を主張する論文や見解が出ており、(これまた私見ですが)保険負債のオプション性は軽視されてきたように思う。

しかしながら、現在進行している金利低下は「景況感が改善する中で金利が低下する」という近年にない状況で、これで解約率が低下するかどうか観測データにわくわくしている。

これが今日の言いたかったこと。金融商品としてのオプションはすべての参加主体の完全に合理的な行動(得をするオプションは必ず行使する)を前提としているが、保険負債のオプション性は「契約者が必ずしも合理的ではない事」を前提とした上で「どの程度合理的でどの程度非合理的なのか」を観測するしかない(契約者の行動特性次第)なのでもっと複雑で面白いのです。

マニアックな話ですが、日本で保険負債の時価評価をしている人たちは(個別会社の状況はさておき)学術的にはいまの市況に興奮しているはず。しかも標準利率改定を経て、終身保険の価格に会社個別の差がかなりでてきたので、さらに面白い。

業界全体の解約率と個別会社の解約率がどうなるか、今からデータが待ち遠しい。

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詰将棋と手品

たまたま、詰将棋&チェスプロブレム作家の大御所である若島正さんの4年前のブログ
http://blog.zaq.ne.jp/propara/article/7/
を読んだら面白い記述を見たのでポスト。

長いですが文中から勝手に引用
「詰将棋創作から経験的に会得している、一つの真実がある。それは、やさしい道と難しい道があったら、必ず難しい道を選んでみるべし、という真実だ。もうこれは頭がそう反応するようになってしまっているので、かってに跳ぶバーの高さを引き上げてしまう。つまり、1メートルしか跳べないとブレーキをかければ、実際に1メートルしか跳べない(あるいは、それより低いところしか跳べない)。ところが、ブレーキをかけるのではなく、頭が暴走するのにまかせれば、知らないあいだにバーの高さはどんどん上がっていく。そして、経験上、いくら難しいテーマであろうが、すべて実現可能であることはわかっている。気がついたら、5メートルくらい跳んでいて、その高さから見下ろすと、自分でもどうして跳べたのかがかわらない。それが詰将棋を作るということの不思議さである。」
経験上、いくら難しいテーマであろうが、すべて実現可能であることはわかっている』と言い切れるのが素晴らしい。だからこそ最高峰の作家になれたのでしょうね。

世界トップクラスのマジシャンであるデビットカッパーフィールドの口癖
If it can be imagined, it is real
(日本では「想像できたら実現したのと同じ事」と訳されている)
を思い出した。
そうなんだよね。

詰将棋と手品ってけっこう似ていて、どちらも準備期間が非常に長く、着想を延々と練りながらオリジナリティをどう出すかを延々探求し続ける戦いという要素があって、その中で①実現したら面白い事を思いつく、のと②それを実際に実現させる事、の2段階の苦しみがあるわけです。ただ、2段階目を意識してしまうと1段階目が萎縮しちゃうんだよね。

僕は両方ともちょっとしか触ってないアマチュアですが、両方に関わっていて良かったなーと思える日だったのでした。

アクチュアリアルな仕事でも、2段階目に自信があるフィールドでは(ここ重要)1段階目の検討においてもハードルの高さはおいといて何を実現したいかに集中する、という点に理想像があるように思うし、たぶんこういう思想は専門職に共通する部分なんでしょうね。

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Largest Prime Number

既知の中で最大の素数が更新されたようですが、「最大の素数」という記事タイトルが非常に気になりまして。

(例えば読売:「最大の素数を発見…1742万5170桁」、朝日:「世界最大の素数を発見 1742万5170桁 米研究者」)

 

という事で、高校生レベルの問題。

今回、素数だと確認された1742万5170桁のメルセンヌ素数をXとする。このとき

(1) 実はXより大きい素数が必ず存在する。この事を証明せよ

(ヒント: X+1以上X!+1以下の範囲に、Xより大きい素数が1つ以上ある事を証明せよ)

(2) Xより大きい素数が無限に存在する事を証明せよ

 

以下は思いつきなので違ってたらごめんなさい

(3) X+1以上X!+2以下の範囲にXより大きい素数が4個以上ある事を証明せよ

(4) X+1以上X!+√X以下の範囲にXより大きい素数が2√X個以上ある事を証明せよ

 

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